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私は未だ恐ろしく

「ど、どちら様でしょう」

という冷や汗ダラダラ状態で見上げている。

首が痛い。


「いやぁ、“噂”は興味深い内容であることが多いですが、僕からしたら…ねぇ」

しらんわ!と心の中で叫ぶ。

「…ぁあ、た、大会おめでとうございます……」

唯一の話題で逃げる機会を伺う。

先ほどまで悪口を言い合っていたんだもの。

巽…

巽が居ない…逃げたか

そんなことよりも取り敢えず退きたい。

果てしなくこの場から消えてしまいたい。

普通の男子高校生が相手ならこうもなるはずがなかったのだが。

なにせ相手は180越えらしいから威圧がすごい。

逆光で黒い。見下されてる気がしてならない。

怖…

「どうもありがと。…ねぇ」


ああ、なかなか会話が終わらない…

なぜこうも話題が尽きないんだろうか

…人気役者だからコミュニケーション能力には長けているのか?

……いや別に私友達がいないわけではないけども。


「大会のこと知ってくれてるんならさ…」


次々と紡がれる言葉に怯えながらなお逃げようとするが

「“見学”しない? 第三者の目で見てもらいたいんだ。辛口評価で。」


「け、見学?」
「うん」


ああ、どうしよう。逃げるどころか捕獲された

モルモット?マウス?

実験前の生命のように心拍が多くなる


「じゃ…ぁ、行かせてもらいます…」


声は徐々に小さくなって肯定の意を示してしまった。

まずは一旦“帰れる”もののまた会わなければならない。

キッツいなぁ

  • 最終更新:2016-11-12 14:32:41

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